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マネーリテラシー

理学療法士を辞めたいと思った人に読んで欲しい『続ける事』の重要性

近年理学療法士を目指す方が急増しています。その背景としては、理学療法士の認知度が向上している。育成機関が増えているなどの理由が考えられます。しかしその反面、悲しい事に理学療法士を辞めたいと思われている人も増加しているようです。その多くが、20代の新卒もしくは4、5年働いて理学療法士の仕事に慣れてきた人たちばかりです。理学療法士をなぜ辞めたいのか?辞めた先に何ができるのか?今一度考え直して欲しい。理学療法士を辞めたいと思われている方に向けて、「辞めてはいけない理由」「続けていく事の重要性」をお伝えします。

 

なぜ理学療法士を辞めたいのか?

インターネットで「Yahoo!知恵袋」や「理学療法士が運営しているブログ」を覗いてみると同じような事が書いてあります。『理学療法士は労働時間の割には低賃金だ』『リスクの割にはリターンが少ない』『勉強についていけなくて、辞めたい』『腰痛などの身体のトラブルが悪化して続けていける気がしない』『人間関係が厳しくて辞めたい』など。非常に残念な内容ばかりです。それだけでなく、『理学療法士は儲からないからアフィリエイトをお勧めする!』『ブログで一儲けしよう!』『今すぐ理学療法士なんてやめるべきだ!』などと辞めることに対して煽るような記事も非常に多いです。このような記事を見ると同じ理学療法士免許を持つ者として非常に恥ずかしい。

確かに、世の中の流れとして、大学卒業後に10年間同じ会社に勤め続ける人の割合は、50%というデータがあります。時代の流れとともに給与や福利厚生、安定性、やりがいなどを重視する人が増えてきているようです。自由に仕事を選ぶ事の出来る時代であるからこそ、「理学療法士はつらいから辞めてしまいたい」と思う人が多いのかも知れません。しかし、本当にそれでいいのでしょうか?

 

辞めた先に何を目指しているのか?

辞めたいと思っている理学療法士の多くは、『新たに資格を取って給料の良い仕事をする』『今の職場より給与を多く払ってくれる職場へ転職する』『副業としてブログを行う』などお金を絡めた意見をおっしゃる方が多いようです。私からしたら、それらは余りにもチープな主張です。そもそもがお金の意味を履き違えています。お金とは『あなたへの信用の対価』として支払われるものです。それがあなたが頂く給与となるのです。それを給与が安いという理由で、賃金の良い職場に転職するなどは得策とは思えません。賃金が良い職場に行ったとしても、ベースが変わるだけであなたへの「信用」はどこへ行っても変わらないからです。もちろん別の資格をとって違う職業についたとしてもこれは同じ事が言えます。また、「信用」が低いあなたが書いたブログを誰が読むのでしょうか?はっきり言って誰も読んではくれません。強いて言えば、アクセス数の互助を目的としたブロガーにしか見られません。そのような事を理解せずに別の社会へと飛び出してしまったのなら…

 

今社会に出ても、あなたは『ただの人』だ。

理学療法士免許取得を目指して勉学を励んできたあなたが仮に免許を置いて、社会に飛び出しても『ただの人』となってしまいます。もし大学を出ていたとしても、一般教養を勉強してきている人たちにはまず勝てないでしょう。そんな人を一般企業は必要とするでしょうか?私も経営者の端くれとして申し上げますが、正直そのような人はいりません。それだけ社会というものは厳しい世界なのです。医療という分野はその一般的な社会とは隔絶した特殊な環境であるという事を、理学療法士を辞めて始めて気づく事になるでしょう。そして、もしあなたが理学療法士免許を置くという事になれば、一生つきまとう責任があるという事を理解しないといけません。

 

あなたの持っている理学療法士免許はあなた自身の力だけで掴みとったものでは無い。

辞めたいと思っているあなたは非常に視野が狭くなっていると思われるので忠告をしたい。あなたの持っているその理学療法士免許はあなた自身だけでとったわけではありません。あなたを理学療法士として教育してくださった先生や病院の指導者、そして今まであなたを育ててくださり、理学療法士の大学もしくは専門学校へ行かせてくださった親からの信用がその理学療法士免許に乗っかっているのです。

理学療法士になる為には500〜1000万円の費用が必要になってきます。これだけの費用を高校を卒業して間もないあなたが支払ったとは思えません。そう、全ては親が支払っているはずです。

理学療法士を辞めたいと思っている視野の狭い方はきっと知らないでしょう。老後にどれくらいの費用が必要になってくるのかを。65歳まで勤めたとしても、人生80歳以上は生きる事になります。夫婦合わせて年間400万円あれば普通の生活ができると言われています。最低でも6000万円無くては80歳まで普通に暮らせません。

つまり、あなたのその理学療法士免許には、ご両親が老後に備えることのできた費用が含まれているのです。あなたを立派な理学療法士にしたいが為にあなたにかけた親からの「信用」がその免許にあるのです。それを無下に辞めて、免許を置いてもいいのでしょうか?あなたは、『あなたの親の人生』をどのようにお考えなのだろうか?

 

辞める理由を職場のせいにしているなら、今は辞めるべきではない。

もし理学療法士を辞めたいと思っているの理由が『職場の人間関係』『勉強についていけない』などでしたら、それは今辞めるべきではありません。理学療法士とは技術職です。つまりは大工など職人さんと同じ類なのです。免許を取ったからと言って、決して「プロフェッショナル」とは言えません。私達の仕事は『目で観察し』『手で状態を感じ取り』『頭で考え』『手若しくは運動で効果を与える』というのが本質です。それがたかだか大学の授業や実習程度の経験しかしていない免許を取り立ての人に出来るわけがありません。勉強についていけなくても当たり前です。技術を向上する為に時間を費やさないといけない業界というのは理解しないといけません。

そして、5〜10年程度でリハビリの長になるというのは医療業界だけであり、とても異質な事なのです。世の中の企業では5年経っても「平社員」が当たり前です。たかだか5年やそこらで仕事の本質など見えるはずがありませn。その為、とにかく諦めずに『続けていく事』が重要なのです。

 

『自分にしか出来ない仕事』を探すより『今の仕事を極めろ』

かつて「勉強についていけない」「自分のリハビリに自信を持てない」という同僚がいました。しかし、その同僚は諦める事なく病院での勤務を続けました。ある時から彼はある理由で必要とされるようになりました。そのある理由とは『パソコンに強い』という事でした。年月が経っても、リハビリに関してはまだまだと言われていましたが、病院で行う『パソコンを使った事務作業』の分野では誰にも負けないぐらいのスキルを発揮したのです。そして、彼への信用はそのまま給与へと繋がりました。

「副業として私にしか出来ないブログをやる!」「私のオリジナリティー溢れる仕事で一儲けする!」というような『自分にしか出来ない仕事』をまず探すのではなく、『今現在の仕事』を極めてみてはいかがでしょうか?

理学療法士として病院などの施設で働くにあたり、「理学療法」だけが仕事ではありません。事務作業など色々な仕事を任せられます。「理学療法を極める」というのは非常に大事な事ではありますが、ほかの仕事を極めて『やはりこの仕事はあなたじゃなきゃ』と言われるようになりませんか?

そうなれば、例え、皆より勉強に劣っていても、仕事を辛いとは思わなくなります。そして、あなたへの信用が増し、それがあなたへの給与へと還元されるはずです。そんなあなたをきっと病院は手放したくなくなるでしょう。

そのように地道に今の仕事『続けていく』事で、今いる職場が、窮屈になる時が来るはずです。そう、まるで天井が近くて潰されるような感覚に。そのような時が、この記事を書いている私みたいに外へ旅立つ瞬間なのです。

まずは今の仕事を『続けて』いきましょう!そうすれば、今のあなたの「普通の仕事」があなたにしか出来ない『オンリーワンの仕事』へと変わっていくのだから。

-マネーリテラシー