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マネーリテラシー

私が理学療法士を『辞めたい』と思った瞬間と『踏み止まれた』理由

理学療法士だけでなく、どんな仕事に従事していても一度はこの仕事つらいな…辞めたいな…と思った事があるかもしれません。しかし、そこで踏み止まれる人、踏み止まれずに辞めてしまう人と様々です。今回は私の経験した理学療法士を『辞めたい』と思った瞬間と『辞めるのを踏み止まれた』理由をお伝えしていきます。

社会人になりたての頃はリハビリの事しか考えていなかった

今一度思い出して文字に起こしてみると、如何に過去の自分が浅はかでおろかだったかと思います。お恥ずかしい話こんな事で辞めたいと思った自分が情けない。

私が仕事を辞めたいと思った瞬間は過去に1度だけございます。それは勤めていた整形外科が新たな事業展開として訪問介護、通所のリハビリを立ち上げて間もない時でした。病院内でも人手が不足していて、私も整形外科のリハビリだけでなく介護事業に積極的に関与していました。もちろん、当時も今と変わらず、リハビリには大きな自信を持って行なっておりました。「リハビリさえ出来ていればいい!」「患者様と良好な関係さえ築ければ良い!」そのような考えしかございませんでした。しかし、それが過ち生む結果となったのです。

 

理学療法士は金銭のやり取りに関与しない

基本理学療法士は金銭の授受に関与しません。患者様のリハビリを行いますが、それに対する対価は受付で支払われます。その為か、自分のリハビリの価値を良く分かっていない理学療法士が多いように見受けられます。私も当時は金銭の授受などは行なった事がありませんでした。学生の時も引越しのアルバイトや居酒屋で厨房をやるなど金銭の授受に全く関係のないことばかり行なっていました。

そんなある日、上司から「車で送迎する時に利用者様から代金1450円(仮)を集金してきてください。」とお願いされました。非常に簡単な頼まれごとだったので、快く引き受けたのを覚えております。しかし、いざ集金する時、ご家族様が「小銭がないのでお釣りありますか」と尋ねてきたのです。自分は集金する事しか聞いていなかったので、もちろんお釣りなどは持ち合わせておりませんでした。一緒に集金に来た先輩と相談し金額の一部の1000円(仮)をお預かりし、残りをまた次回用意してもらう事にしました。しかしここで終わっていれば良かったのですが、当時の私は何を血迷ったのか、持たされた1450円(仮)の領収書を渡してしまったのです。もちろん先輩にも相談しました。

今書いているだけでも、非常に恥ずかしい失敗です。1450円(仮)を満額領収していないのに領収書を渡してしまったのです。これは院内でも大きな問題になりました。「理学療法士はそんな事もわからないのか?」と酷くお叱りを受けました。それだけでなく、リハビリ部内でもこの問題が取り上げられ、会議で私一人だけが酷くたたかれました。

当時の私は「あの会議の場で、なぜ一緒に行った先輩は私を庇ってくれなかったんだ!」と心底腹を立てました。そして、「なぜリハビリを一生懸命頑張っているのにこんな惨めな思いをしなければいけないのか。」「こんな仕事嫌だな。」「辞めたいな」とも考えてしまいました。

 

辛いと感じたのは「理学療法士」の仕事ではない

袋叩きにされた会議から3日間は精神的なダメージが大きく、本当に辞めたいと思っていました。しかし、よく考えれば金銭のやり取りのルールを知っていなかった私に非があります。理学療法士として社会に出ているのであれば、理学療法の専門的な知識だけでなく、ある程度の社会的な常識も身につけておくべきだったのです。理学療法士である前に、一社会人ですからね。金銭のやり取りぐらいの知識は持っていなければいけなかったのです。理学療法士の仕事が嫌だから辞めたいと思ったのではありません。社会人として、無知で自分が惨めだったからそう思ったのです。

 

私が辞めるのを踏み止まれた理由

理学療法士は専門性が非常に高く、学校では社会人としての常識を一から教えてくれるわけではありません。その為、かつての私は社会人として考えられないミスを犯してしまいました。逆にその部分をどうにかして成長させようとも思いました。どこに行っても通用するような恥ずかしくない理学療法士および社会人になってやろうと。それが病院に踏みとどまれた理由だと思います。

ネットが普及して来た現在、「理学療法士は院内での人間関係が大変。」「給与が低い。」「労働時間が長い。」だから辞めたいとの意見をよく目にします。しかし、私はこう考えます。「人間関係が大変。」「給与が低い。」「労働時間が長い。」という問題はどこの業界にも、どこの職場にも生じる問題です。それを理由にして、辞めてしまってはいけないと思うのです。辞めるなら、まずは社会人として自分の身近なスタッフから一目置かれる存在になってからでも遅くはありません。

理学療法士含む医療の業界はとてもとても狭い世界です。 医療の業界で当たり前とされている事柄も、いざ社会に出てしまえば当たり前ではなくなってしまいます。もしこれを読んでいる理学療法士ですぐにでも辞めたいと思っている方は今一度考え直してみては如何でしょうか?今のあなたは本当に社会に出ても通用するだけの『信用』と『常識』がある人間なのかを。

-マネーリテラシー