マネーリテラシー

転職したいと考える理学療法士に見つめ直して欲しい『自分達の仕事』

日本では年間多くの理学療法士が輩出されています。それに比例して「理学療法士を辞めたい」「転職したい」と考える人も多くなっているようです。私の周りでも、同じところに働き続けている人は非常に少ないのが現状です。他の職種を見ても、転職をしてskill up、給与up を目指すのが世の中の流れとして認められてきております。しかし、理学療法士の世界でもそのように転職を促していっても良いのでしょうか?今回はそんな転職したい理学療法士に向けて見つめ直して欲しい『自分達の仕事』について紹介していきます。

 

理学療法士が転職したいと考える理由

理学療法士を辞めたいもしくは転職したい理由は、インターネットですぐに検索することが出来ます。多くが、「給料に不満がある」「30年後同じように仕事できるのだろうか」「老後が不安」「職場の人と馬が合わない」「そもそも親に言われて目指した仕事なのでモチベーションが持てない」などです。金銭面、身体の面、人付き合いの面など色々な理由にて転職を考えているようです。

これらの事は非常に残念なことです。上記の例の主語はなんでしょうか?全て『私』が当てはまるのではないでしょうか?あまりにも自分本意の理学療法士が増えている気がしてならないです。ましてや、「理学療法士の転職にはこのサイトが良い!」「理学療法士は辞めた方が良い」と促している人達もいるという現実にも愕然とします。理学療法士(physical therapist)は文字通り、身体の専門家です。もし自分の身体の面で不安があれば、自分で勉強して対処が出来るはず。もし金銭面で困っているなら、寝ずに別の仕事をすればいい話です。

結局skill upをしたい、給与をあげたいというのは口実で、「自分」がいかに楽をして、お金を多くもらえるかという事しか考えていないように思えて仕方がありません。自分本意の考えで転職すれば、移った職場でも「同じ事」で転職を考えるようになるでしょう。労働の対価もしくは信用の対価があなたへの報酬だという事を認識しないといけません。勤めているという事は、経営者の事業に協力しているという事です。世の中をより良くする為の仕事が事業なのです。そのような仕事を「自分本意」でやっていれば、世の中はよくなりません。ましてや理学療法士の業界全体の給与など上がるわけが無いのです。

 

そもそも理学療法士自身が自分達の本当の仕事を理解しているのだろうか?

『理学療法士』『作業療法士』『柔道整復師』『看護士』『鍼灸師』これらの法律に記載されている仕事内容を言えるでしょうか?また、どれが「医療従事者」であるか答えられるでしょうか?

近年、都合のいいように自分達の仕事を解釈している人が多いです。法律に定められている仕事内容はなんなのか?理学療法士がどのような歴史的な背景で日本に入ってきたのか?いかに自分達の職域が他職種に侵されているのかをご存知でしょうか?もし知らないようでしたら、今勉強されている本を一旦置き、本来法律で決められている理学療法士の仕事について勉強し直してみることを強くお勧めします。

 

転職してもskill upにはならない

近年、転職をしてskill upする為に転職するというのが世の中の流れになっています。おそらく「IT分野」の発達によりこのような流れになったのだと考えます。例えば、卓越したWEBの知識を持ち、ありとあらゆる電子機器を使いこなせる人が同じ分野で転職すればそれはskill upに繋がります。なぜなら、WEB・PCという共通の環境内での転職です。技術をそのまま転職した職場に持っていくことができ、そしてその転職した職場で新たの知識・skillを上乗せすることが可能だからです。。

しかし、理学療法士の業界ではどうでしょうか?これと同じ事が言えるのでしょうか?理学療法士は身体の知識を用いて理学療法を行います。知識はもちろんの事、技術も必要になってくる職業です。ネットを見ていると「先輩に比べ技術が低く負い目を感じている」などの事をおっしゃる方もいますが、経験が少ない分技術が低くて当たり前なのです。大工のかんな削りと同じで、一朝一夕で身につくものではございません。残念ながら、誰でもすぐに身につけられる技術など無いのです。それがあれば、理学療法士のような専門家は必要ありません。また、もし負い目を感じているのであれば、その先輩を超えるように練習をしているのかどうかが問題になります。練習もせずに、先輩の方がすごいと言っているのはかなりおかしな話です。

整形外科だろうと、老人保健施設だろうと「身体の基本的な知識」や「人の身体を触る技術」、「コミュニケーションをとる技術」はどこにいても練習ができるものです。その基礎となる部分が出来ていないにも関わらず、転職を考えるなど笑止千万です。逆にその基礎さえ身につけてしまえば、後はどこへ行ってもそこの知識や技術を上乗せする事ができます。悪い事は言いません、その基礎部分が出来ていない方は、転職を考えるのはやめた方が良いです。転職先にすごい人がいようとも、リハビリを行うのはその人ではありません。リハビリするのは基礎の出来ていないあなたなのですから。

 

お金が欲しいから転職するのは辞めなさい

多くの理学療法士が「給与が低いから」という理由で転職を考えているようです。これは特に5年未満の若手理学療法士に特に多い傾向です。お金欲しさで転職すれば、先程もお伝えしたように「技術」は身につきません。また本当にお金が欲しいのなら、今の仕事に加え空いた時間も理学療法士として何かアルバイトをすれば良いだけの話です。それだけのモチベーションがなければ、転職しても結局またお金の問題で苦しむ事になるのです。

 

理学療法士はお金の意味を理解した方が良い。

理学療法士は専門学校や大学にて専門教育を受けている為、社会について疎い人が大勢います。いわゆる「閉鎖された世界」と言っても過言ではありません。またお金を取り扱う事も少ない為、簡単に手取り20万前後の給与を少ないとおっしゃります。お金というものがもらえて当然と考えがちです。しかし、実際は信用の積み重ねがあなたへの給与という形になる事を理解しないといけません。そしてあなたが貰っている給与の殆どが社会保障費から賄われているのです。つまりは、全国民の信用が理学療法士の給与に反映されています。転職を希望されているあなたはその信用に値する働きをしているのでしょうか?もしあなたへ支払われている給与が少ないのならば、残念ながら病院からみたあなたへの信用度はその程度なのです。仮に給与が少し高い職場に転職したところで、信用が得られなければ給与が上がる事はありません。つまり、転職したところで信用を高めることが出来なければ人は、職場を転々とする運命となるのです。

 

理学療法士自身が理学療法士の業界を陥れている

実は高い給与を求めて転職を繰り返す事による弊害があります。よく考えてみてください。先程お伝えしたように基礎部分が出来ていないにも関わらず転職をしてしまえば、技術レベルは育っていきません。それをみんなが繰り返せば業界全体の技術の低下に繋がります。また、病院を経営する側からみれば、理学療法士はすぐに転職していなくなる。だから自分のところで育てても意味がないと思われてしまいます。そして、経験年数豊富な理学療法士よりも給与が安い初任の理学療法士を雇った方が良いという考えになってしまいます。つまり、ただ単に給与が欲しいが故にみんなが転職を繰り返せば、理学療法士の社会的な信用度が下がってしまいます。結局自分達で自分達の価値を下げてしまうのです。給与が欲しければ、今の職場からの信用度を高める事を行なっていった方が良いのです。それが出来なければ、『給与が低いから転職→理学療法士の社会的な信用が下がる→信用が少ない理学療法士の給与の水準が低くなる→給与が低いから転職』という負の連鎖に陥ってしまいます。

 

見つめ直して欲しい理学療法士自身の仕事

もし命を絶ってしまうと思うぐらい追い詰められているのなら、それはこの仕事に向いていません。今すぐ辞めた方が良いです。お金を目的に転職するのなら、本当にオススメしません。まずは他職種との違いが言えるぐらい『理学療法士の仕事』を見つめ直す事から始めてください。そして、どの分野へ行っても通用する『基礎』を培ってください。そうするだけで雇用者からみたあなたへの評価が代わり給与に反映されるはずです。それがクリア出来ても満足出来なければ、『次のステップ』に移る時なのです。安易に転職を考えてはいけません。時には泥水を啜るように耐える時期も必要なのです。高い給与を求めても、お金はやってきません。理学療法士自身の信用度を高める事で高い給与が得られるのです。『自分本意』の転職ほど愚行はないのです。本気で仕事をやるかどうかはあなた次第です。

-マネーリテラシー
-, , , ,